ヴィパッサナー瞑想との出会い

 
 
世界中で瞑想がブームになっています。
瞑想は仏教から生まれたものですが、西洋科学と統合させて発展した「マインドフルネス」は、 グーグルなどの世界的な企業やアスリートたちが取り入れ、大きな成果を出しています。
マインドフルネスが広まった大きな理由として、「宗教」という問題を切り離したことにあります。
アメリカは様々な人種、文化、宗教を持つ人たちの集合体であり、どのような立場に置かれている人でも先入観を持たずに取り組むことができます。
マインドフルネスの創設者、ジョン・カバット・ジン博士が学び、その原点とされるのがヴィパッサナー瞑想です。
マインドフルネスは、心理的問題、ストレス解消、能力開発などを目的とした心のエクササイズや心理療法であるのに対して、 ヴィパッサナー瞑想は、仏教の開祖である釈迦が悟りを開いた瞑想法として知られています。
 
僕がはじめてヴィパッサナー瞑想という言葉を聞いたのは19歳の時でした。
知り合いの紹介で、きこりをしているという人物と会うことになりました。
その方は僕より一回り近く年上のとても穏やかな雰囲気の方で、都会から離れてひとり山での生活を求め、きこりという職業になったとのこと。それ以前は自衛隊、除隊後はバックパックを背負って世界放浪。インドでヴィパッサナー瞑想と出会い、そこで人生観が大きく変化したと言いました。
当時、某新興宗教の団体による凶悪な事件が連日報道されていたこともあり、宗教、瞑想、インドというキーワードは、あまり良い印象ではありませんでした。ただその方はとても魅力的だったので、その瞑想には少しばかり興味を持ちました。
 
それから約15年後、プロカメラマンになった僕は、撮影でネパールを訪れました。
同じドミトリー部屋で同年代の日本人と一緒になり、髪を坊主にした僧侶のような雰囲気の彼は会話の中で、ヴィパッサナー瞑想を体験して、やはり人生観が変わったと言いました。
彼からの情報で、ネパールにもヴィパッサナー瞑想を修行する施設があると知りましたが、興味はあるものの恐怖心があって、そこへ訪れることはありませんでした。
 
そしてさらに約5年後、友人のデザイナーが京都でヴィパッサナー瞑想の体験をして、自分の身に大きな変化があったと言いました。彼は子供の頃からアトピー性皮膚炎に悩まされ、これまで様々な治療法を試すも効果がなく諦めていたところ、ヴィパッサナー瞑想によって驚くほど回復したとのこと。修行中は外界と閉ざされるため、精神的なストレスがなくなり、それによって状態がよくなったと言いました。
 
ヴィパッサナー瞑想。
心が穏やかになり、病気が回復する。どこか異世界のような場所が日本の京都にあるなんて。
ネットで調べると、完全予約制で、定員が限られているため、順番待ちとありました。
申し込んでから約2ヶ月ほどでセンターから返信があり、参加確定となりました。
費用は無料、寄付は自由。
一般的な日本人の感覚では、宗教や瞑想は曖昧な部分が多く、営利目的の団体ではないことが安心材料となりました。
その頃、カメラマンとしては忙しく過ごしたいましたが、作品が撮れずに気持ちが行き詰っていたこともあり、何かのきっかけになればという期待もありました。
 
まず僕は基本的に日本人の多くと同じ仏教徒です。と言ってもそれを意識するのは法事などの時のみです。初詣には神社へ行きますし、通っていた幼稚園は自宅からもっとも近いという理由で教会のある園でした。旅先ではイスラムのモスクにも行きます。特別何かに信仰した経験はありません。
 
 
8月の暑い日。バックパックに荷物と想いを詰めて、いざ瞑想センターへ。。