ダンマバーヌへ

 
 
京都駅から嵯峨野線に乗り換え、園部駅まで。
バスに乗り換えて檜山で降り、そこからさらにセンターの車の送迎で山を10分ほど上がったところにありました。
 
瞑想センターは、都会から離れた静かな保養地といったような雰囲気でした。
玄関ポーチから小庭を進んで行くと、いくつかの木造の建物があり、そのひとつが受付になっているようで、今回の参加者たちが順番に列を作って手続きをしていました。
自分の順番が来るまで周囲を観察していると、男女の比率は半々くらい、年齢層は十代の学生から高齢者まで幅が広く、皆ひとりで来ているようで、雑談らしき会話がほとんどありません。僕を含めて皆どこか緊張している雰囲気。
受付ではまず荷物を預けます。スマホやパソコン、カメラなどの電子機器、財布などの貴重品、非常食、飲料水、書籍などの読み物、驚いたのはペンやノートの持ち込みも禁止です。日記や何かを書き留めることは一切できず、自分の記憶にインプットするのみ。
 
センターの一階にいくつかの部屋があり、玄関入ってすぐのベットのある部屋はすでに満席、その奥の8人部屋の一角が自分のスペースになりました。
部屋のメンバーは大柄な中年の欧米人1名、小柄な若い欧米人1名、日本人らしき学生風の若者が4人、アジア系の30代が1名という組み合わせ。男女は施設が分離されているので全員男性ばかりです。
この時点ではまだ聖なる沈黙が開始されていませんでしたが、会話をするような雰囲気ではなく、みな目配りで挨拶を交わします。これから10日もの間、一緒に過ごすことになりますが、会話がないのでお互いのことがわからず、不安な気持ちです。
聖なる沈黙がはじまると、会話だけでなく、他者と視線を合わせる、合図、身体の接触など、あらゆるコミュニケーションが禁止です。
 
ここでコース内の規律について触れていこうと思います。
まず下記の写真をご覧ください。参加者に配られた詳細のしおりです。
 
 
戒律についてですが、
1.いかなる生き物も殺さない。
2.盗みを働かない。
3.いかなる性行為も行わない。
4.嘘をつかない。
5.酒や麻薬なども摂取しない。
それ以降の項目では、リピーターや指導者にはさらに3つの戒律があります。
 
まず1についてですが、僕が体験した8月は一年でもっとも虫たちの活動期。しかもここは山奥で自然の中。蚊を殺すことはもちろんゴキブリたちともお友達にならなければなりません。センターのスタッフたちは施設内でゴキブリを発見すると、プラスチックの容器をゴキブリに上からそっと被せ、隙間から下敷きを挟んで捕獲し、施設外に逃がすという対処法でした。
 
5についてですが、酒、麻薬はもちろん別紙に記入してありますがタバコも禁止です。僕は普段からそれらの習慣がないので問題ありませんでしたが、好きな人にとっては辛いかもしれません。インスタントコーヒーは自由に飲むことができたので、僕にとってはそれがもっとも楽しみでした。
 
その日の夜、食堂に参加者男女ともに全員集まり、スタッフたちの自己紹介と注意事項などが語られました。
スタッフたちは、もともと僕らと同じく一般参加者で、コース終了後に、古い生徒という位置付けで、瞑想の修行をしながら奉仕活動をしています。ここは営利目的の団体ではないので、すべてボランティアです。参加者の食事を作ったり、部屋の掃除などがスタッフの仕事です。上座部仏教の功徳を積むという教えです。
日本人のスタッフに加え、外国人の参加者も多いので、外国人の通訳兼スタッフもいます。冗談を交えながら楽しい場となりました。
 
食堂を出ると周囲はすでに真っ暗でした。周辺には民家を含め、建物がない山の中です。
センターの前にある庭に出ると、お月様がきれいに見えました。虫たちの声もよく届きます。雑念の多い日々の生活を抜け、こんなところにやってきてしまいました。
鐘の音が響いています。
聖なる沈黙の開始です…

2500年以上前に存在した釈迦族の王子、ゴータマ・シッダッタが悟りを開き、後にブッダとなった、その瞑想法ヴィパッサナー。
時を超えて、いざブッダの世界へ。