プロジェクト「Honda Cars x NPO」 

 
第2話・背中で語る
 
 
工場で働く彼らの後ろ姿には物語があります。
適度に汚れた汗とオイルが付着する作業着は、広告写真にないリアルさがあります。そして、そこに刻まれた社名、HONDAブランドへの誇り。
サービスエンジニアは真面目で寡黙な方が多い。言葉で表現するより、技術で勝負。だからこそ彼らは背中で語ります。
 
 
 
 
彼らの背中を見ていると、懐かしい記憶が蘇ります。
僕の祖父は漁師でした。寡黙な祖父と会話した記憶はほとんどありません。印象に残っているのは筋肉質で日焼けした後ろ姿。正面ではなく後ろ姿なのは、仕事に対する祖父の集中力が、幼かった僕には直視できませんでした。
水平線が見える誰もいない世界で、舵を握る祖父の背中。西日に照らされながら自室で漁の仕掛けを作る祖父の背中には、言葉では語らなくても伝わる物語がありました。
 
 
 
ショールームと違い、サービス工場は、気軽に人が立ち寄るような場所ではありません。彼らにとって親しい存在である家族や恋人は、彼らの働く姿を見る機会がありません。
僕が祖父の背中を見て育ったように、彼らの働く姿を大切な人に届けたい。そして サービスエンジニア本人たちにも、自分の輝く姿を見てもらいたい。
 
彼らは背中で語ります。
そして僕は写真で想いを伝えます。
 
 
2017年8月24日 武壮隆志-むそうたかし